目に見えない変化で熱を奪う!?業務用冷凍機の基礎知識を分かりやすく解説
業務用冷凍機は、冷凍機の規模を大がかりにしたものですが、そもそも冷凍機とはどのような装置になるのかご存知でしょうか。冷凍機は、気化熱を利用して冷たい温度の熱を作り出すシステムで、冷媒が蒸発するときに周囲から熱を奪い取って冷たい熱を生み出す、これは目に見えない変化で熱を奪うなどの意味でもあり業務用冷凍機は面積が広い周囲を冷却する目的で使用される装置です。その施設が倉庫になっていて、外部に冷気が逃げないよう密閉されたもの冷凍倉庫です。
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目に見えない変化で熱を奪う!?業務用冷凍機の基礎知識を分かりやすく解説
- 業務用冷凍機の基本!冷凍機械の原理でもある冷凍サイクル
- 蒸気圧縮式冷凍機は一般的に使用されている業務用冷凍機
- 業務用冷凍機の種類や吸収式冷凍機の特徴
- ターボ冷凍機は病院や半導体工場など空調設備に利用される熱源機になる業務用冷凍機
- 業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因①:定期点検やメンテナンスをしていない
- 業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因②:悪条件で使用し続けている
- 業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因③:室外機の周辺に障害物を置いている
- 業務用冷凍機はIoT技術で故障リスクの低減が大切
- そもそも冷凍機とは?業務用冷凍機と冷却器の違い
- 業務用冷凍機の冷媒にはどんな種類がある?
- 業務用冷凍機の間接冷媒で使用されるブラインの基本知識
- 業務用冷凍機と物品を冷却する役割を持つシステムでもあるチラーとの違い
- 空調としての役割を持つ業務用冷凍機
- 業務用冷凍機の主要メーカーの特徴
業務用冷凍機の基本!冷凍機械の原理でもある冷凍サイクル
コンプレッサ(圧縮機)を使用して冷媒を圧縮して、空気や水を冷却する種類の冷凍機のことを圧縮式冷凍機と呼び業務用冷凍機の主流になる方式です。圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器、業務湯冷凍機内部で低温の熱源から高温の熱源へと熱を移動させて、いくつかの状態変化を経て最初の状態に戻る、これを繰り返して熱エネルギーを循環させる仕組みのことを冷凍サイクルと呼びます。 業務用エアコンやターボ冷凍機などの空調機器は、業務用冷凍機に分類されるもので冷媒と冷凍サイクルを繰り返して冷たい水や空気を作り出す構造です。ちなみに、アルコールで皮膚を拭くと冷たく感じますが、その原理はどのようになるのでしょうか。アルコールの大気中圧力の蒸発温度は低く、体温は蒸発温度よりも高いため、液体が体に触れると体温により蒸発します。そして体から熱が奪われるため冷たく感じるわけです。なお、液体が蒸発するときには周囲の熱を奪う性質でもある気化熱があり、冷媒を使用している業務用冷凍機の冷却もこの原理を利用しているのが特徴です。
蒸気圧縮式冷凍機は一般的に使用されている業務用冷凍機
一般的に使われている業務用冷凍機は、蒸気圧縮式冷凍機と呼ばれるもので、使用する冷媒には、アンモニア・炭化水素・二酸化炭素・フロンなどの種類があります。業務用冷凍機は、蒸発→圧縮→凝縮→膨張の冷凍サイクルがあります。冷媒を圧縮するための装置や高温高圧の気体になっている冷媒を外気などにより冷却して液体にする凝縮装置、そして液体の冷媒を小さな穴から噴出させる膨張弁と液体が気化して低温を作る蒸発装置の4つの主要部で構成されます。 蒸気圧縮式の業務用冷凍機の特徴は、部品が細分化されていないため小型化が可能になることや、容量あたりの質量および体積が小さいため価格を抑えることができる、冷凍サイクルの最高温度が低いので定期点検の周期を長くしてもそれほど支障が生じないなどが挙げられます。このようなメリットを持っている蒸気圧縮式には、騒音がやや大きいことや需要電力が増加するなどのデメリットもあるといわれています。
業務用冷凍機の種類や吸収式冷凍機の特徴
業務用冷凍機には、蒸発→圧縮→凝縮→膨張の冷凍サイクルの蒸気圧縮冷凍機、蒸発→吸収→再生→凝縮の冷凍サイクルの吸収式冷凍機、2つの種類があります。これらは循環方式による違いになるわけですが、吸収式の業務用冷凍機の場合は、大きな建造物の冷房を行うために欠かせない冷水を作る装置で、大型施設や高層ビルなどで使用する冷房設備に採用されているといいます。蒸気圧縮式に使用する冷媒は、アンモニア・炭化水素・二酸化炭素・フロンなどになりますが、吸収式には臭化リチウム水溶液で空調用のものには臭化リチウムを使用するなどの違いを持ちます。 アンモニアを冷媒にして、吸収液に水を使うのがアンモニア吸収式冷凍機です。主に冷凍機で使用されている業務用冷凍機で-60度まで冷却が可能で容易に空冷化を実現するといいます。なお、刺激臭のある有害物質に含まれるため漏えいしたときの除害装置などの設備が必須ですが、これは蒸気圧縮式の場合も同じことがいえます。
ターボ冷凍機は病院や半導体工場など空調設備に利用される熱源機になる業務用冷凍機
業務用冷凍機の一つにターボ冷凍機と呼ばれるものがありますが、この業務用冷凍機は用途によりいくつかの種類があります。例えば、冷媒の冷凍サイクルを使い冷水を精製して医療機関や半導体製造工場、大型施設の空調設備に利用する熱源機に使用したり、スクリュー冷凍機や吸収式冷凍機など冷房専用機、特殊用途のブライン型や熱回収型のダブルバンドル、冷媒に水を採用して地球環境に優しい業務用冷凍機などがあります。 なお、電力を駆動源にしているターボ冷凍機は、CO2排出量が少ない業務用冷凍機で、吸収式タイプは水を冷媒にしているため地球環境に優しいといいます。水は、大気中では100度で沸騰しますが、圧力が下がり真空に近い状態のときは約5度で沸騰する性質を持ちます。真空になっている冷房用の配管に冷水が通るところに冷媒をたらすと、配管の熱を奪い蒸発するため配管内の冷水が冷却される原理です。電動式の場合は、フロンを冷媒にしてこれを圧縮することで熱が発生して、膨張により熱を奪うなどの性質を利用しています。
業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因①:定期点検やメンテナンスをしていない
業務用冷凍機は、建物付属設備に該当する場合の耐用年数は15年で定格出力が22kW以下は13年です。
ただ、業務用冷凍機の耐用年数はそのまま設備の寿命になるわけではなく、使い方や手入れの仕方により、13年や15年以上使い続けることができますし逆に短くなることも少なくありません。
業務用冷凍機は、定期点検やメンテナンスを行うことを前提に設計されているので、推奨されているタイミングで定期点検を行うことが大切です。
業務用冷凍機の利用条件が悪かったり室外機の周囲にモノを置くなどでも寿命が短くなるので注意が必要です。
飲食店や工場などの場合、油分や埃などが設備機器内部に入り込みやすいので、内部劣化が通常よりも早く進みやすいため、メンテナンスの頻度を上げることをおすすめします。
熱交換を行う室外機のファン正面などにモノを置くと通気が悪くなり余計な負荷をかけることになり、劣化や故障の原因になることも多いため悪条件下の使用にならないよう注意しましょう。
業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因②:悪条件で使用し続けている
業務用冷凍機はいろいろな原因により、通常よりも設備の寿命が短くなることがあります。
悪条件で使用することによって寿命が短くなることもあるので、適切な条件で使用することが必要です。
設備を使用するために必要となる電力の量が不十分であると、通常よりも使用できる期間が短くなってしまうことがあります。
電力の量が十分でない場所で機械を動かしていると、電力不足が原因となって機械が途中で止まってしまうこともあります。
何度も頻繁に停止していると、機械の部品に悪い影響を与えることもあるので、劣化が進む原因となります。
このような悪条件により業務用冷凍機の設備寿命が短くなることを予防するためには、機械を使用するために欠かせない電力を十分に確保することが必要です。
工場などで食品を製造するために使っている場合には、施設内のインフラを整備することで、必要な電力を確保できます。
その他の悪い条件も、必要な工事などをすることによって改善できます。
業務用冷凍機の設備寿命が短くなる原因③:室外機の周辺に障害物を置いている
業務用冷凍機は、エアコンと同じで屋外には室外機を設置しています。
あまり日当たりが良い場所に設置してると、夏場の太陽光などによりダメージが生じてしまう、冷凍機の機能がフルに発揮できなくなるので、あまり日当たりが良い場所は避けた方が良いでしょう。
業務用冷凍機の場合はビルの屋上などに設置するケースが多いため、まともに太陽光が当たりますが、効率を考えて屋根を設けるなどの工夫を行っておけば安心です。
ちなみに、住宅の場合は置き場所が南側や西側しかないケースもあるかと思われますが、ケースの上にすだれを取り付けている人もいますが吸い込み口側に壁になるように設置してしまうと負荷がかかりエアコンの効率にも影響を与えます。
また、業務用冷凍機の室外機周辺に大きな障害物を置いても本来の冷凍機能が損なわれてしまう、冷却装置などにダメージが起こることも少なくありません。
業務用冷凍機はメンテナンスをしっかりするだけでなく、このような点にも注意するとで寿命を長くできます。
業務用冷凍機はIoT技術で故障リスクの低減が大切
業務用冷凍機を飲食店や工場で使用している場合、油や塵・埃などを吸い込みやすく故障の原因になることもあります。
この場合は、定期的なメンテナンスや内部の洗浄など小まめなケアを実施することで寿命を長くすることが可能です。
業務用冷凍機は、定期的な点検とメンテナンスの計画と実行により耐用年数を長くすることもできますが、そのためには自社設備の耐用年数の把握も大切です。
自社で保有している業務用冷凍機など空調設備の購入時期を確認して、年数が長いものを中心に点検を実施するのが理想です。
ただ、業務範囲が幅広くて多忙な日々を送っている保守点検の管理者は建物内にあるすべての空調設備を小まめに管理することは大きな負担になりがちです。
そのため、さまざまなサービスを活用して負担を減らすることで実現しやすくなります。
IoT端末を室外機に取り付けることで業務用冷凍機の稼働データや修理記録などの一元管理を可能にするサービスもあり、故障リスクの削減に良い効果を期待できます。
そもそも冷凍機とは?業務用冷凍機と冷却器の違い
業務用冷凍機と聞いたとき、飲食店が冷凍品の保管をするための冷凍庫や冷凍食品などを扱っている食品メーカーの大型の冷凍倉庫をイメージする人も多いのではないでしょうか。
冷凍機は、気化熱を使用した冷たい温度の熱を作り出す仕組みを持つシステムです。
冷媒が蒸発するときに周囲から熱を奪い取って冷たい熱を作り出す、周囲を冷却するために使用するのが冷凍機で、業務用冷凍機はエアコンなどの空調システムにも使用されています。
蒸発したときに熱を持ちますが、凝縮器という機械で熱を取り出すなどの特徴があり、この繰り返しを行うシステムが、冷凍機でその繰り返しのことを冷却サイクルと呼びます。
この冷却サイクルの方法により蒸気圧縮式や吸収式などの種類に分類されています。
冷却器は、冷媒を冷やして再び液化させるシステムで、従来はクロロフルオロカーボンが主流でしたがオゾン層の破壊に繋がることから使用はされません。
現在では地球環境にも優しいR32に注目が集まっています。
業務用冷凍機の冷媒にはどんな種類がある?
業務用冷凍機の冷媒にはさまざまな種類が存在します。
これらは冷凍機の性能、環境への影響、法規制などを考慮して選択されます。
最も一般的な一つはフルオロカーボン系のR-22です。
しかしR-22はオゾン層に対する悪影響があるため多くの国で規制されており、段階的に使用が禁止されつつあります。
代替としてR-410AやR-134aなどが広く使われています。
また炭化水素系も存在します。
プロパンやイソブタンなどは環境に対する影響が低いため、特に小規模な冷凍システムで使用されることがあります。
ただし燃焼性があるため、取り扱いには注意が必要です。
さらに天然も注目されています。
二酸化炭素(CO2)やアンモニア(NH3)は環境に非常にやさしく、エコフレンドリーな選択肢として広く利用されています。
これらは高い冷凍能力を持ち、エネルギー効率も高いため、環境規制が厳格な地域での選択肢として重要です。
ハイブリッドも研究されており、さまざまな特性を組み合わせ開発されています。
これらはさらなる環境への配慮やエネルギー効率向上を追求するための選択肢として将来的に普及する可能性があります。
業務用冷凍機の選択は性能要件、法規制、環境への影響、コストなど多くの要因に左右されます。
適切な選択は効率的な冷却プロセスを確保し、同時に環境への負荷を最小限に抑える重要な決定です。
業務用冷凍機の間接冷媒で使用されるブラインの基本知識
業務用冷凍機の中には間接冷媒を利用したシステムもありますが、これは間接冷却方式の業務用冷凍機でアンモニアが一次冷媒で二酸化炭素やブライン液を二次媒体にしているなどの特徴を持ちます。
間接冷媒の形で使用されているものがいくつかあるのですが、その代表格になるのがブラインで、これは塩水といった意味を持つもので、さまざまな金属に使用できるため注目が集まっているようです。
中でも、化学工場などの設備で使用されることも多く、他の酸性物質とは異なり金属にダメージを与えることが少ないことから利用する現場が多くなっているようです。
業務用冷凍機に類似しているチラーは、冷凍機と同じく物品を冷却する役割を持つシステムの総称です。
冷凍機の場合、液体ではなく気体を冷やしますが、チラーの場合は液体を冷やすなどの大きな違いがあるため、どの媒体を冷却するかにより呼び方や方式が変わります。
なお、液体を冷やすときには-10度程度で目的を達成できますが、冷凍機の場合は冷却する対象が気体になる関係から、マイナス数十度以下など低温度にすることも可能です。
業務用冷凍機と物品を冷却する役割を持つシステムでもあるチラーとの違い
業務用冷凍機とチラーは、両方とも冷却システムとして使用されますが、その役割や動作原理にはいくつかの重要な違いがあります。
まず一般的に低温領域での冷却や冷凍を行うために設計されています。
これは食品保存や冷凍食品の製造などの産業プロセスに広く使用されます。
蒸発冷媒サイクルを使用して熱を移動し、物品を非常に低温にする能力を持っています。
これに対して一般的に中温から低温領域の冷却を担当し、建物やプロセスの空調システムなどで使用されます。
もう一つの違いは冷媒の選択です。
通常低温で安定した冷却を実現するために、低温冷媒を使用します。
一方中温冷媒を使用し一般的に高温環境での冷却を行うために設計されています。
さらに制御システムや能力においても異なります。
業務用冷凍機は非常に低温を維持する必要があるため、高い制御精度が求められます。
一方一般的に比較的穏やかな温度範囲での冷却を行うため、制御精度が低くても効果的に機能します。
業務用冷凍機とチラーは冷却システムとして異なる用途に使用され、異なる温度範囲と冷媒を使用されます。
業務用冷凍機は低温に特化し、冷凍食品や産業プロセス向けに設計されています。
一方中温から低温を提供し、建物やプロセスの空調に適しているのです。
選択する際には具体的な用途と要件に合わせて適切なシステムを選ぶことが重要です。
空調としての役割を持つ業務用冷凍機
冷たくないものを冷たく冷やしたり、冷凍するための機械を冷凍機といった形で認識されている人は多いかと思われますが、冷凍庫の場合は中に入れたものを冷やして凍らせる役割を持ち、空調として役割を果たす際には空気そのものの温度を下げる役割を担うなど冷房も冷凍機が必要不可欠です。
業務用冷凍庫の場合は、家庭用冷凍庫やエアコンが決めて大きくなったもの、このように考えることができます。
エアコンも同じ役割を持つ設備の一つで、施設や工場など広い空間では業務用冷凍庫が役立つ存在になってくれます。
業務用冷凍機の主要メーカーは、ヒートポンプから冷凍機、冷却プラントや冷却エンジニアリングを手掛けている企業、ユニットクーラーと呼ぶ冷却器や冷凍冷蔵ユニットなどさまざまなユニットの製造販売を行っている企業などがあります。
空調システムを主にしている会社の多くが業務用冷凍機の開発を行っているケースが多く、長年の経験を持つ専門メーカーなどの特徴を持ちます。
業務用冷凍機の主要メーカーの特徴
業務用冷凍機の市場にはいくつかの主要メーカーが存在し、それぞれ独自の特徴を持っています。
三菱電機は高効率の冷凍機を提供することで知られています。
彼らの製品は省エネルギーであり、環境に優しい設計が特徴です。
また、信頼性が高く、長寿命であるため、多くの業務用冷凍システムに採用されています。
ダイキンは幅広い製品ラインナップを持つメーカーで、特に変速コンプレッサ技術の先駆者として知られています。
これにより、冷凍機の能力を効率的に調整でき、エネルギー消費を最適化することができます。
ダイキンの冷凍機は、多様な業界で使用されており、柔軟性が高いのが特長です。
キャリアは冷凍機の革新と品質に焦点を当てたメーカーです。
彼らの製品は信頼性が高く、厳しい環境条件下でも優れたパフォーマンスを発揮します。
ヤマト冷機は日本国内外で高品質な冷凍機を提供するメーカーです。
彼らの製品は、特に食品業界や医療業界で評価されており、衛生面での信頼性が高いです。
また、カスタマイズされたソリューションを提供することで、顧客のニーズに応えています。
これらの主要メーカーは、異なるニーズに対応する多様な製品を提供しており、業務用冷凍機市場において重要な役割を果たしています。
選択肢の中から最適な冷凍機を選ぶ際には、性能、効率、信頼性、サポートなどの要因を検討することが重要です。